2023/07/19 20:27
子供の頭脳は6歳までに約90パーセントが完成されるといわれ、特に信頼できる相手(大人)とのコミュニケーションを通じて脳力はぐんと発達する。言語能力、想像力、情緒などはまさしくそれで、絵本の読み聞かせや会話を通じて、またお手伝いなどの経験を通して得た「できた」の自信は発達成長に多大な影響を及ぼす。
日本における家庭内での育児に関わる男女比率は圧倒的に母親の存在が大きい。近年核家族、共働き家庭の増加、リモートワークの定着によって子供との向き合う時間環境は日々変化し、その心理的ストレスは増加する傾向にある。仕事に家事にと追われる母親の負担が大きくなればなるほど出産育児への不安は募る一方である。
今回注目したいのは、
「子育てしやすい国」と評されるスウェーデン。その特長として、子育てに関する支援施策の充実があげられる。
・現金給付(生活保障)
・経済的負担の軽減措置
・税額控除etc.(「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」データより)
スウェーデンにおける3-6歳児の子を持つ母親の就業率は83.6パーセント(2016年調査時点)、それに対して男性は91.2パーセント。男性の育児休業取得率は88.5パーセント(2001年時)、また2016年の子どもの看護休暇取得状況(年間取得日数)が女性8.5日に対して男性6.8日。EU諸国の中でも男女就業率の差、そして目に見えて育児に関わる時間差が最も少ないとされている。
負担のバランスが保たれることで、母親の心の余裕も変わってくる。例えば「しなければいけない」という不安やプレッシャーは子どもに伝染し情緒的に不安定になる要素は積み重なるばかりであるし、「早く」という急き立てや「なんでできないの」というプレッシャーや否定の言葉は自信の芽が育つことを阻害してしまうが、父親のサポートによって母親の心理的部分に余裕ができれば、子どもと接する態度も柔和になってくることは想像に難くない。社会のルール、社交性、生きる上で必要な知識技術の伝達教授、その他父親が育児に携わることが子どもに及ぼす影響は多大である。
0-6歳時は特に親子のコミュニケーション(向き合う時間)を通して言語力、思考力が育まれる。「やりたい」の気持ちを伸ばし、「できた」の成功体験を重ねることで自信がついていく大切な時期である。イヤイヤの主張もまた大きい時期であるゆえに、親が如何に心の余裕を持ち、穏やかに子供と向き合い育児に関わることができるか。楽しみながら得た知識と経験は、子どもだけではなく親にとってもまた自信につながっていく。子育ては親育てとも言われるように、みな初めは分からないことだらけ。笑顔で向き合う時間、失敗と成功体験を共にすることで人間としても成長していける、大切な時間である。